【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第14章 The Geometry of
────そうしていつか、また元の三人に戻れるんじゃないかって思った。
研磨から久しぶりに引越しをしたとメッセージがきて、もうそろそろ戻れるんじゃないかと思った。
この三年間ずっと抑えていたから。
もうその感覚に慣れていた。
会いたかったなどと、自分から言うには図々しいとさえ思っていた。
「…違う…研磨…。」
仁美は掴んでいた研磨の腕を離して、研磨の頬に手を当てた。
「本当はずっと研磨に会いたかった。」
一番最初にそう言わなかったことが、彼を傷付けていたと気が付いた。
研磨は仁美の手が触れると、少し目を俯かせた。
そしてすぐにまた仁美の顔を見る。
「……クロにも会いたかった?」
そう研磨が聞くと仁美は小さく頷いた。
研磨はその仁美を見て、背筋を伸ばして天井を見た。
「……遅すぎ…。」
ポツリと言った研磨の言葉は大きな息と一緒に吐かれて、仁美には聞こえなかった。