【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第14章 The Geometry of
小さく呟いて首を振る仁美を見て、研磨の目が細くなる。
「…そんなこと思ってなかった…。私…。研磨とクロとしばらく距離を置いたらまた昔みたいに…。」
戻れるかもしれないと思った。
しかしソコまで言って、仁美は最後の言葉は出なかった。
この三年間。
仁美もまた辛かった。
三人で当たり前に過ごした時間にポッカリ穴が開いた時間だった。
慣れない大学で躓いた時は、いつも黙って話を聞いてくれる研磨を思い出した。
誰かに告白されたら黒尾を思い出した。
その度に心の中で囁いていた。
────今更会いに行けるはずがない。
その手を離したのは自分だったから。
だけど、研磨の春高の時に久しぶりに黒尾を見て。
バレーをやっている研磨を見て。
その時だけは昔の三人に戻れたようだった。
まだぎこちなくて、それでも何事もなかったかのように、少しだけ三人で話をした。
昔のように笑い。たわいのない会話をして。