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【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】

第12章 Triangular Midnight


なら何故黒尾は行ってしまったのか。

それは仁美が「行かないでくれ」と縋っている姿を見ていた黒尾から伝わった。





「……でもね、分かっちゃったの。クロ……あの人を使って、私の気持ち……試してたんだって。」





『……すぐ戻る。ほんとに、すぐ。だから──。』

そう言って苦しそうだった表情の奥で、彼の仁美への要望がしっかりと伺えた。





「本当に離れないか……どれだけ傷ついても戻るか……クロ、確かめたかったんだよね。……全部、分かったの。」





だから仁美は黒尾が望んだように彼に縋った。

そんな黒尾は仁美を残して部屋を出た。

彼の望みはそれでも仁美が黒尾を待っていてくれることだった。




そんな黒尾の心の奥にある歪んだ渇きが、瞳越しに滲んでいた。




「……クロはね……私の気持ちを、試したの。離れないか……あの人を使って……ずっと……。」

唇が震え、次の言葉は崩れるように漏れた。





「……もう、無理だよ……。」





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