【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第12章 Triangular Midnight
研磨は黙って 仁美 を自分の部屋まで連れてきた。
玄関で泣きじゃくる 仁美 を見た母親は驚いた顔をしたが、研磨は短く「部屋、来ないで。……あと、クロが来たらすぐ通して」とだけ言った。
ドアが閉まると、世界はふたりだけになった。
研磨はそっと 仁美 をベッドに座らせる。
座った途端、仁美 の肩が小さく震えた。
その震えが、部屋の静けさに痛いほど響く。
しばらくして仁美 はようやく口を開いた。
「……クロに、全部話したの。」
声は涙で掠れている。
研磨は返事をしないで、ただ仁美の話を聞いていた。
「好きだって……ずっとそばにいるって……全部、言った。クロはあの人のことは好きじゃなくて…私が好きだって言ってた…。けど……。」
仁美はまどかのところに行くと言った黒尾の顔を思い返して言葉を詰まらせた。
その時、仁美は分かってしまった。
黒尾はあの時確かにもうまどかを好きでは無かった。