【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第11章 The Night I Chose You
「……高校生に、言われちゃうんだ。」
声だけ甘い、目はまったく笑っていない。
「理想を語るのは自由だけど……現実はそんな綺麗なものじゃないよ?」
指輪のはまった薬指をわざと見せるように揺らしながら、
「それでもね、鉄朗くんは……私が呼べば来てくれた。」
まどかの言葉に黒尾の胸が痛いほど跳ねる。
その瞬間、仁美 はすっと、黒尾と まどか の間に立った。
「……だからこそ、今日で終わりです。」
まどか の目がわずかに細くなる。
仁美 の声は震えていない。
「あなたが寄りかかるのは……クロじゃない。そしてクロも、もうあなたに寄りかからない。」
仁美 はゆっくり息を吸った。
冬の風が頬を刺すのに、不思議と寒くはなかった。
黒尾の手はまだ震えている。
まどか の視線は刺すように鋭い。
けれど 仁美 の目は、一切揺れていなかった。
「……私は、クロの心が離れるのを…もう見たくありません。」