【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第11章 The Night I Chose You
仁美 は黒尾の手を握る力を、ほんの少しだけ強めた。
その少しの反応に、黒尾は顔を上げて仁美を見た。
仁美は真っ直ぐにまどかを見て、続けて言った。
「クロが誰を好きでもいいって、ずっと言い聞かせてきたけど……無理でした。苦しかった。怖かった。だから、今日で終わりにします。」
まどか の眉がわずかに動く。
「……終わりって、何が?」
「あなたとクロの、曖昧で、傷つけあう関係です。」
ハッキリと告げる仁美に、まどか の目が細くなる。
仁美 は黒尾の方を振り向き、ゆっくりと言う。
「クロがまた誰かを好きになるのが怖い。また誰かに心が向くのを見るのが、嫌。それでも……それでもね、私はクロと一緒にいたい。」
そう言って黒尾を見る仁美の目には、揺らぎない気持ちが込められていた。
黒尾は目を細くて少し瞼が震えた。
それでも仁美の手をしっかりと握り返した。
まどか は黙ったまま、わずかにまぶたを伏せた。