• テキストサイズ

【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】

第11章 The Night I Chose You


黒尾は仁美と並んで歩くのがただ嬉しかった。





何度も手をつなごうとして、そのたびに「今日は強引じゃない自分で」と言い聞かせて手を引っ込める。





けれど、仁美が小さく袖を摘んだ瞬間、黒尾の心臓は跳ねた。





「クロ……こっち、歩きにくくない?」

その仕草が、遠回しな“つないでもいいよ”に見えた。

黒尾は堪え切れず、ゆっくりと仁美の手をとった。




指と指が自然に絡まる。

仁美の手は少し冷たくて、黒尾の体温に触れた瞬間、微かに震えた。




「……仁美 の手、かわいい。」

思わず漏れた声に、仁美は一瞬だけ目をそらして、頬を赤くしながらも握り返してくれた。




黒尾の胸は、しみ込むような幸福感で満ちていた。

こんな穏やかな時間を、自分がもらっていいのかと思うほど。






2人で映画を見て、その帰り道にソフトクリームを半分こして、仁美が甘いもので口元を汚したら黒尾はつい拭き取ってしまった。




「……クロ、そんなの恥ずかしい。」

「いいじゃん。俺の仁美なんだから。」
/ 301ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp