• テキストサイズ

【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】

第2章 Shifting Distance


「そういえば、研磨のクラスは何やるの?」

仁美は看板を壁に立てかけながら、汗を拭うように手の甲で額をなぞった。

「うち? ……アプリゲーム。」

「アプリゲーム?」




仁美は思わず目を丸くした。

「え、それって……クラスで作るの?」

研磨は無造作にポケットに手を突っ込んで、少し気だるげに答える。




「うん。クラス全員じゃないけど、情報系のやつらで。俺も少し手伝った。」

「……研磨が?」

仁美の声が一段高くなる。

驚きと同時に、まっすぐな尊敬の色がその瞳に宿っていた。




研磨はその視線を受けて、少しだけ肩をすくめた。

「まあ……ちょっとだけね。」




ほんの短いやりとりのあと、二人の間に小さな沈黙が落ちる。

廊下のざわめきの中で、二人の空気だけが少し静かだった。




その沈黙を破ったのは、仁美だった。

息を小さく吸い込んで、顔を上げる。




「……ねぇ、文化祭の後夜祭で、今度こそクロに告白する。」

声はいつもより小さく、でもはっきりしていた。

研磨の指先が、ほんの一瞬だけ止まる。
/ 301ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp