【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第9章 Cling to Me, Even If it Hurts
黒尾の指が髪を梳きながら、耳元を撫でる。
優しい声が落ちてくる。
「試験、頑張ったな。」
その一言で胸が熱くなる。
今日、誰にも言われなかった言葉。
仁美は黒尾の胸に額を押し付けた。
「……うん。」
返事が息みたいにこぼれる。
黒尾はその小さな声に満足したのか、そっとキスを落とした。
額、まつげ、頬——唇。
唇に触れると同時に舌が入ってくる。
慣れてきたキスに、仁美は黒尾の腕を掴みながらキスに応える。
黒尾の手がピクリと動き、ゆっくりとブレザーを脱がせていく。
「…仁美、今日着込んでるね。」
「……寒かったんだもん…。」
仁美の言葉に黒尾は笑いながら、セーターのボタンに手をかける。
「クロ…待って…。おじいちゃんたちは?」
「…靴がなかったから、デイサービスじゃない?」
家に誰も居ないと分かると、少し仁美の顔が暗くなる。
黒尾はそんな仁美の表情を汲み取った。
「…仁美大丈夫…。触るだけだから。」