【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第9章 Cling to Me, Even If it Hurts
そう言ってシャツのボタンを外していく。
仁美は何も言わないけど、震える手が黒尾に見えた。
「…仁美…俺ら変だよな…。あんなに長い時間一緒に居てやっと付き合ったのに…。付き合ったって形式じゃ不安で、仁美に触れてないと仁美の気持ちが俺に向いてるって安心出来ない。」
黒尾は最近の自分の行動が、仁美を追い詰めているのは分かっていた。
だけどああしなかったら、彼女が離れてしまう気がして抑えることなんて出来なかった。
「…クロ……。私もまだ不安がいっぱい…。」
仁美はようやく心の底にある言葉を一つだけ漏らした。
黒尾は仁美を抱き締めると、背中いっぱいに手を回す。
「…分かってる…俺のせいだよな…。」
仁美から笑顔を奪ったのも、好きと言う気持ちを濁らせたのも、全て自分のせいだと分かっている。
だからもう一度仁美に好きになってもらいたくて必死なんだ。
黒尾は開けたシャツを肩から滑らせた。