【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第9章 Cling to Me, Even If it Hurts
力なく返すと、黒尾の指が絡む。
その手に、縋るように握り返してしまう自分がいた。
黒尾は満足げに薄く笑う。
「よし。俺が送る。ほら。」
周りの騒音より、黒尾のそばにいるほうが楽だった。
仁美は触れる黒尾の腕に頭を付けた。
「仁美……大丈夫か?」
黒尾の心配そうか声が聞こえると、仁美はゆっくりと目を開けた。
「…なんか疲れた…。静かなところに行きたい…。」
力無くそう言う仁美に、黒尾の顔が赤くなる。
「仁美…。俺の家行こう。」
囁くように言われて、仁美は小さく頷いた。
黒尾はそんな仁美を愛おしそうに見ていた。
家に着くと、黒尾は鍵を開けながらちらりと仁美を振り返った。
「……入って。」
靴を揃えると、黒尾はすぐに仁美の手首を掴んだ。
そのまま部屋へ引かれていく。
「仁美、こっち。」
ベッドの端に座ると、黒尾は膝の上に仁美を引き寄せる。
抱きしめられると、身体の力が抜けたように黒尾に身を預けた。