【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第9章 Cling to Me, Even If it Hurts
担任は優しく笑い、続けた。
「最近、表情明るいな。青春か?いいねぇ。」
心臓が止まる音がした。
「クラスの子から聞いたぞ。黒尾と付き合ったんだって?」
また仁美の息が止まった。
どこにいても黒尾が側にいるみたいだった。
祝福されて嬉しいはずなのに、なぜか胸の霧が晴れない。
仁美は廊下に出ると、教室に戻る気持ちにもなれなくて、1人になれる場所を探した。
廊下を抜けて、空き教室を覗き、階段を降りる。
校舎裏の体育倉庫を思い浮かべたが足は進まなかった。
一瞬研磨を思った…。
その時スマホが震えた。
クロ:どこ?
一瞬、画面に体がすくんだ。
返事をしようと返す前、角を曲がった先で黒尾が待っていた。
手には仁美の鞄を持っていた。
「仁美。自己採点、終わり?」
頷くと、黒尾は当然のように手を伸ばしてきた。
「じゃ、帰ろ。今日はもういいだろ。受験組の邪魔しない方がいいし。」
「…うん。」