【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第14章 The Geometry of
その声音はいつもの研磨と変わらない。
けれど、状況があまりにも違いすぎて、息が詰まる。
仁美 は布団を胸元までぐっと抱え込みながら、震える声で言った。
「け、研磨……なんで……? 私……どうして……。」
問いの続きがうまく言葉にならない。
研磨は一度だけまばたきをし、少しだけ視線を落とした。
それはまるで、何をどこまで言うべきか測っているようで、その沈黙が、さらに 仁美 の不安に火をつける。
研磨はゆっくりと息を吸い、静かに言った。
「……大丈夫だよ。仁美 が思ってるようなことは……してないから。」
────俺はね…。
研磨の目線の先にはシーツからはみ出る黒尾の痕。
その痕を見ながら研磨の目が細くなる。
「……私…なんで裸なの?」
「服、汚れてたから。洗濯してるよ。」
その声音は軽いのに、仁美 の胸にはざわりと罪悪感が広がる。
自分が失態をしたから──そう思い込んで、仁美 は眉を下げた。
「……ごめん。迷惑かけたよね。」