【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第9章 Cling to Me, Even If it Hurts
だけど違う言葉を、もう出せない。
スマホが震えた。
クロ:いい子
その一言で、自分がどこにも行けないように思えて、目を閉じた。
仁美は腕を投げ出すようにベットに倒れた。
次の通知が落ちてきた。
📱《研磨:typing…》
数秒。消える。
また入力中。また消える。
そして、ただ一行だけ届いた。
「頑張ったね」
そしてその直後、研磨のアイコンは灰色になった。
オフライン。
仁美 の喉が締まる。
どっちも失わないようにしたはずなのに。
もう、どっちも遠くなってしまった気持ちだった。
夜が深くなるほど、SNSの「いいね」は増えていく。
世界は祝福しているのに、当事者はひとりで泣いているようだった。
––––
––––––
翌朝。
仁美は教室の前で一度立ち止まった。
深呼吸を一つして教室の扉を開く。
扉を開けた瞬間——。
「きた!本人ー!!」
「おめでとー!!」
「黒尾と付き合ったってマジ!?」