【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第9章 Cling to Me, Even If it Hurts
仁美 の手元だけ––––。
袖と指先だけ写っている写真。
そしてキャプション。
『ずっと好きだった子と、やっと。』
数分で「いいね」が増えていく。
コメントも。
「え、黒尾彼女いたの!?」
「隣のクラスの子?誰?」
「幸せにしろよー!」
まだ心の準備も出来てなかったのに、あっという間に世界に、2人の関係が貼り付けられた。
画面の隅、ほんの小さなアイコン。
既読:研磨
その文字を見た瞬間、仁美 の呼吸が止まる。
黒尾の“勝利宣言”を、研磨も見ている。
返信はない。
スタンプも、既読スルーさえない。
ただ、そこに沈黙があった。
それが1番仁美 の胸に刺さった。
黒尾からすぐLINEが来る。
クロ:見た?
クロ:可愛い手だからバレたらやだなー笑
仁美 の指が震えながら返信する。
仁美:見たよ。ありがとう
(ありがとうってなんだよ…。)
自分で送って自問自答する。