【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第9章 Cling to Me, Even If it Hurts
「……仁美。」
「……なに、クロ?」
返事をした次の瞬間、唇が触れた。
柔らかくて、深い。長いキス。
何度か角度を変えて、お互いと息を漏らしながら、唇を塞ぐ。
「これから、よろしくな。」
唇が離れて、黒尾は笑顔で無邪気にそう言った。
仁美 は息を吸い込み、小さく返す。
「……うん…。」
言えた。
言ってしまった。
黒尾に返事をした時––––。
1番胸が跳ねた。
黒尾は手をまた握り直し、満足そうに歩き出して、家路に戻る。
–––––
–––––––
夜。
仁美 が帰宅して、あとは寝るだけの時間。
スマホを机に置いても、胸の奥がざわついて止まらない。
黒尾のキスの熱も、研磨の視線の痛みも、全部まだ身体に残っている。
通知が鳴った。
📱《黒尾鉄朗の新しい投稿》
仁美は跳ねる胸を堪えて画面を開いた。
そこには写真があった。
黒尾の制服。
ベッドの背景。