【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第9章 Cling to Me, Even If it Hurts
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研磨の家を出たあと、仁美 と黒尾は、いつもの道を歩いていた。
手は、繋いだまま、黒尾は上機嫌だ。
本当に楽しそうに、春みたいに晴れた顔で。
「……ふふ。」
終始ご機嫌の黒尾から声が漏れてる。
(…クロ…、嬉しそうだな…。)
仁美が繋がれた手を意識して顔が赤くなるのは、これまでと同じ反応だった。
黒尾は、すぐ気付いた。
「ほら、そういう顔。やっと戻った。」
嬉しそうに目尻を下げる。
「明日さ、家庭学習日だろ?学校行く?」
「うん。学校行くよ。今日のテスト、先生と採点するの。」
「俺は……休んで、イチャイチャしたかったのになぁ。」
黒尾は唇を尖らせながら、つまらなそうに言った。
仁美の胸も一瞬跳ねる。
「……ごめん。」
「んー、いいけど。まぁ、別の楽しみ方考えとく。」
含みのある黒尾の言葉にまた一つ胸が跳ねる。
家の近くの小さな公園に差しかかると、黒尾が足を止めた。
そのまま、こちらに顔を寄せてくる。