【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第9章 Cling to Me, Even If it Hurts
「……でも 仁美 は別。」
黒尾が小さく息を呑み、仁美の胸が締めつけられる。
黒尾はにこりと笑みを崩さず、明るく言った。
「で?今日は2人で、何する予定だったの?」
研磨はその問いに一瞬だけ目を伏せ、心の中で思う。
––––そんなの、クロと同じだよ。
今日は仁美のそばに居たかった。
研磨はゆっくりと仁美の方へ向き、いつもの声色で言った。
「仁美、お疲れ。」
研磨の言葉に、仁美はほっとしたように微笑む。
「研磨、ありがとう。」
その笑みは黒尾に向けた笑顔とは違う、静かなものだった。
2人を見ながら黒尾は笑みを深めて言った。
「そんな感じなら、俺も一緒でよかったじゃん。」
そして仁美の手を握った。
研磨の目が、その指と指の絡みに吸い寄せられる。
「ね、仁美?」
笑顔で仁美に聞く黒尾に、仁美もまた笑顔を返して「そうだね。」と呟いた。