【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第9章 Cling to Me, Even If it Hurts
彼の言葉は理性を持っていたが、キスは理性の上を踏みつけてくる。
何度も、何度も、息を奪うように。
触れる指先は熱くて、迷いがない。
ジャケット越しの肩を滑り、腰へと落ち、指が肌の近くをなぞる。
「……でも、触りたいって思うくらいは……いいだろ?」
ちゅっと舌を絡めて、指は無遠慮に服の中に入ってくる。
苦しいのに、黒尾に触れられている肌は熱を持っていた。
仁美 はぎゅっと目を閉じる。
止めなきゃいけないはずなのに、声が出ない。
黒尾の息が首筋に落ち、キスが顎から喉元へと降りていく。
研磨の匂いが残るベッド。
黒尾の重さ。
手首を絡め取る指。
罪悪感が胸を締めつける。
でも、研磨じゃない体温がそこにある。
「俺のこと、もう決めてくれよ……。」
黒尾の声が震えていた。
仁美を渇望して、かろうじて理性で抑えているようだった。
仁美 の胸の奥が、じんと熱くなる。
逃げられない。逃げたくない。どっちなのか分からない。
黒尾の指が、また服の下の肌を這った。