【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第8章 Unholy Devotion
スマホ画面に触れた親指が震える。
連絡先を押す。
でも、送信ボタンは押せない。
「……無視してるならさ、言えよ。」
呟きは、独り言。
届きもしない弱音だ。
俯き、額を机につけて深く息を吐く。
(会いたい。声、聞きたい。……俺だけ見てろよ。)
その願望は、恋じゃなくて、ほとんど呪いみたいに重かった。
その時スマホが震える。
——通知。
反射的に首が跳ねる。
でも、違った。クラス全体チャット。仁美じゃない。
一瞬で瞳の光が消える。
「……は?なんなんだよ」
投げるでもなく、ただ静かに机にスマホを置く。
でも、離せない。
視線が離れない。
(返して。仁美を、俺に返して。)
喉の奥で、静かに焦りが腐っていく。
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試験当日
黒板の上の時計の秒針が、静かに動いている。
無機質な試験会場。
配られた問題用紙の紙の匂い。
(よし。)