• テキストサイズ

【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】

第8章 Unholy Devotion


昼休みのチャイムが鳴り、仁美が静かに席を立つ。

参考書を抱え、目線を落としたまま教室を出ていく。




黒尾はその姿を目で追った。





(…図書室か?…それとも…。)

研磨のところだろうか––––。




黒尾は机に突っ伏すると、大きく息を吐いた。

入試前でなかったら、きっと叫んでいただろう。












昼休みのざらついた静けさの中、仁美は参考書を抱えて、体育倉庫の前に立った。




そっと扉を開けると、薄暗い空間に座る研磨の姿があった。

彼はスマホを伏せ、こちらを見る。

目は相変わらず眠たげなのに、どこか鋭さを含んでいる。




「……研磨。」

声をかけると、研磨は小さく顎を引き、横のスペースをぽん、と手で示す。




仁美は黙って隣に座る。

薄い埃の匂い。

ボールの跳ねるかすかな音が遠くに聞こえた。




重たい沈黙のあと、仁美が息を吸う。

「……クロから全部じゃないけど、聞いた。思ってた以上に、すごく……重かった。」





疲労を感じるため息まじりの声だった。

/ 309ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp