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❁✿✾ 依 依 恋 恋 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第3章 依依恋恋 三話



彼女に向けてその名を紡ぐ事があまりにも自然過ぎて、光秀の胸の中がじんわりと暖かな幸福へ満たされる。再びこうして凪を前にし、彼女を呼ぶ事が出来るとは、つい一昨日までの自分でもさすがに想像していなかった。凪の方はどうにもまだ慣れていない印象を受けるが、別にそれでも構わない。その柔らかそうな愛らしい唇が己の名を呼ぶ度、愛おしさが湧き上がった。

「ところで、この洋菓子はお前が選んだんだろう?」
「!そうです、家康……えーと同じ編集部の徳川から色々話を聞きまして、先生好みのものを出来るだけ選んだつもりなんですけど……お口に合いますか?」

ちら、と窺うようにこちらを見て来る凪へ、つい嗜虐心が刺激されそうになるのは少々困りものだ。何の因果か、今世でも味に何ら関心のない光秀の味覚は、あまり乱世に生きていた頃と比べて然程も変化はない。その為、光秀が食物に対して感じるのは、せいぜい喉越しと食感が主な訳なのだが。

「ああ、柔らかくて噛みやすい。腹も程よく膨れそうだ」
「……?よ、良かった!お腹が膨れるって大事ですもんね!」
「そうだな。お前も遠慮せず食べるといい」
「じゃあその、お言葉に甘えて……頂きます」

男の返答へ何やら不可思議なものを感じたらしい凪が、軽く首を捻りつつも肯定してみせた。いずれ味覚の事は彼女に気付かれるとして、ひとまず光秀は適度に自身の話を切り上げては、凪の前にある手つかずなままの洋菓子を勧める。相手が手を出しやすいように光秀自身も再び皿を取ると、凪がおずおずと同じく皿やフォークを手にした。

「美味いか?」
「はいっ、すっごく美味しいです!」

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