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❁✿✾ 依 依 恋 恋 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第3章 依依恋恋 三話



空気を切り替えてくれたお陰で凪もすんなりとソファーへ腰を下ろす事が出来、静かに置かれたカップとソーサーを前に軽く頭を下げる。カップの他にもミルクとシュガー、そして茶菓子のチーズケーキにフォークなど、一通りのものを支度した光秀が、一度席を立って書斎机の引き出しに入れていた数枚の原稿用紙を手に戻った。

「此度の新作だが……若い世代を読者層とする上、こみからいずやあにめ化とやらを視野に入れるのならば、単に日ノ本の神話をなぞるだけでは関心を惹く事は出来ないだろう」
「確かにそうですよね……私は前回の大まかな設定を聞いただけでも興味が惹かれましたけど、神話って難しい漢字の名前の神様が沢山出て来ますし、その時点で既に人を選んでる感は正直あります」
「ご明察の通り。今の年若い者達はそもそも神話への関心が極めて薄い。神代(かみよ)を舞台とした話を書いたとしても、結果は芳(かんば)しくないのは明白だ」

原稿用紙を一度テーブルの上に置き、光秀が湯気の立つカップへ何も入れないまま口をつけた。視線で促されると凪も軽く会釈して、どちらかといえば彼女側へ寄せられていたミルクとシュガーポットからそれぞれ必要な分を自身のカップへ加える。一般的に見て、少し甘過ぎでは?と突っ込まれる量の砂糖と、ミルクとを多めに加えたその様を、光秀が何処か懐かしそうに、そして微笑ましげに見つめた。

「神話離れ……今の日ノ本における深刻な問題のひとつですね」
「ああ、神話はそもそも様々な風刺(ふうし)や教訓を後世へ伝える為の役割を兼ねたものだ。神話を忘れた国は滅びる。かつて古くより日ノ本の民達が重んじていたものを、今の世に生きる民らは少々軽んじ過ぎたらしい」

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