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❁✿✾ 依 依 恋 恋 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第3章 依依恋恋 三話



慌てて首を左右へ振りながら否定した凪に対し、大きく扉を開く形で男が中へ促した。一礼して恐縮しつつも屋敷内へ足を踏み入れると、やはり先日と同じくふわりと冴え冴えした薫物の香りが鼻腔をくすぐる。もしかしたら、屋敷全体でこの香を焚いているのかもしれない。お洒落だなあなどと考えながら先導する光秀の後へ続いた。先日通された応接間を通り過ぎ、階段を登って二階へ向かう。前回とは通される場所が異なる事に内心驚いている内、突き当りの部屋の襖を光秀が開く。

「今、茶の用意をする。ここで待っているといい」
「どうぞお構いなく……!あ、これ昨日のケーキのお礼です。お口に合うといいんですけど……」

凪を中へ案内すると共に、光秀が身を翻しかけた。手土産を渡すタイミングをすっかり失っていた彼女が慌てて紙袋を渡せば、男が少なからず驚いた様子で目を瞬かせる。

「茶請けに礼など気を遣わずとも良いものを、律儀な娘だ」
「そういう訳にはいきません。社会人として、お返しはしっかりさせて頂かないと!」
「そうか。では有り難く受け取らせてもらうとしよう」
「はい……!」

紙袋を受け取った光秀が口元を綻ばせた。その甘やかに感じられる微笑へどきりと胸を跳ねさせ、内心でいやいやいや!と大きく頭(かぶり)を振る。何せ相手は【惚れれば地獄】の明智光秀だ。数々の女性担当編集をある意味で再起不能にさせた伝説を幾つも打ち立てている男相手に、どきりとなどしてはいけない、駄目、絶対。凪の葛藤を余所に、光秀は楽にしていろ、と一言残してその場を立ち去った。昨日は光忠が茶などの支度をしてくれていたが、その彼が居ない為、光秀自らがもてなしてくれるらしい。

(……ここ、書斎だ。先生は普段この部屋で原稿を執筆されてるんだなあ)

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