第79章 翻弄される日々〜冨岡義勇【R18強強】
「いい加減にしてください、義勇さん…!」
ゆきは、自分を抑える義勇の腕を必死に押し返した。
氷のように冷たい義勇の肌が、熱の引かない自分の体温を吸い取っていく…その心地よさがすごく惨めに感じた。
「しのぶさんが…しのぶさんがいるのに、こんなのおかしいです! 昨夜だって、私を代わりに…」
「胡蝶の代わりなどと思ってはいない」
義勇は抵抗するゆきの背中に腕を回し抱え込む様に抱きしめた。
「お前の体はまだ熱い。俺の体温は低い。こうして密着しているのは、熱を下げるのに最も効果的だ。理に適っている」
「そうだけど…コンッ…嫌なの!離して…」
あまりに、淡々と話す義勇に、ゆきの感情がめちゃくちゃになる。
「私の心をこれ以上、掻き回さないで…優しくしたり、突き放したり、しのぶさんの身代わりにしたり…。義勇さんの目的がわからない。私を壊して、何が楽しいんですか!?こんなの嫌!」
叫び、腕の中から逃れようともがくだが、義勇は離さない。
それどころか、ゆきの耳元に顔を寄せ、息がかかるほどの距離で聞いた…。
「ゆきお前は、俺のことが好きか?」
「そんなこと、もう聞かないで…! 今更やめて…」
ゆきは、逃げようと体をよじる。しかし、義勇の腕に力がはいり逃げれない。
ゆきの細い体を完全に包み抱きしめると、逃げ道を塞ぐようにして、熱くなったゆきのうなじにそっと顔をくっつけた。
「…すまない。俺も、混乱している」
首筋に触れる義勇の唇が、熱い…
いつもの冷静沈着な義勇ではなく余裕がない。
「お前を前にすると、どうしようもなく抱きしめたくなる。口付けしたくなる。今、俺の腕の中にいるお前のすべてが欲しくなるんだ」
ありのままの告白。それは、ゆきの離れゆく心を激しく揺さぶり始めた。
「そう思うなら…何で…何でしのぶさんと…愛し合ったんですか?しのぶさんと愛し合う時、私の事は思い出さなかったんですか?無理矢理にでも、私を抱けば良かったんじゃないですか?私が誰を想っているか分からなくても…私を前にすると、そんな気持ちになるのなら」
義勇は、答えられないただ余裕なくずっとゆきを抑えつけ逃さないようにしていた。