第79章 翻弄される日々〜冨岡義勇【R18強強】
暫くして義勇は医者を連れてきた、医者はゆきの胸の音を慎重に聞き首を横に振った。
「夜風に長く当たりすぎたせいだ。肺を患っている。今は熱も高く、呼吸も浅い。安静にするそれだけだ。」
義勇は胸が痛んだ
自分が不死川の所へ行けなどと言わなければゆきはこんな事になってなかった。
医者は、義勇を見ながら言葉を続ける。
「幸い、ここは刀鍛冶の里だ。当分はこの里に留まり、熱と咳が治まれば温泉に浸かり療養するのがいい。この数日は咳も熱も出るしっかり看病してやれ。」
義勇は青ざめた顔で「承知した」と短く答えた。
しかし、去り際に医者が言った言葉にどう反応したらいいのか困る。
「あんた、こんなに可愛らしいおなごを泣かせてはいかんよ。これほど身体を壊すまで放っておくとは。これからは、もっと優しくしてやるんだ。添い遂げると決めた仲なのだろう?」
医者は二人が恋仲であると勘違いしていた、そしてパンパンと、義勇の背中を叩いて部屋を出た。
静まり返った部屋に、気まずい沈黙…。
布団に横たわるゆきは、医者の勘違いを否定する気力もないのか、ただ黙って天井を見つめている。
かつての二人なら、今の言葉に照れて戸惑いながらも見つめ合っていたかもしれない。
しかし今、その恋仲という響きは、義勇とゆきにとって皮肉でしかない。
「ゆき…」
義勇に名を呼ばれた途端ゆきは、無視するように目を閉じた。
そんなゆきの行動に、義勇は胸が痛む。
「すまない。今は、ただ休んでくれ」
嫌がられやしないかビクビクしながら、義勇は咳き込むゆきの背中を、恐る恐る擦り続けた。
静かな宿の部屋に、ゆきの苦しげな咳だけが絶え間なく響いている。
「義勇…さ…ん…背中…擦るの…だ…いじょうぶ…です…コンッ…コンッ…ね、ねてくだ…さい…コン」
苦しそうに咳をしながらお前は、俺の腕を持ち押し退けた。
まるで、俺に触れられるのを拒むかのように…。
「ならば隣で寝る、失礼…」
「えっ?…コン…コンッ…コンッ」
義勇は、当たり前の様にゆきの布団の中に入ってきた。