第79章 翻弄される日々〜冨岡義勇【R18強強】
「駄目だ。柱の命令だ継子は辞退してはならない」
「何で…ずるいです…義勇さん…」
「命令だ…」
俺は何を言っているんだ…何が命令なんだ。胡蝶に気持ちが揺らいだのに、しかもそれを、ゆきが曖昧な態度で自分に接するからだと、ゆきのせいにした。
不死川と怪しいのではないかと疑い、ならば自分もと胡蝶を抱いた。
俺は、最低だ…。
ふとゆきに目を向けるとまだ体調は、悪く布団に倒れ込みそうになっていた。
そんなゆきを、義勇は思わず抱きとめた…
「今日は一日寝ていろ…まだ熱がありそうだ。」
「は、離して下さい…大丈夫です触らないで下さい」
ゆきは、俺を突き放そうとするが力が出ない…ようだ
「ゆき…」
「本当に触らないで!」
これまで、幾度となくゆきに触れてきたが、こんなに嫌がられるのは初めての事だった。
本気で俺を嫌がる姿は、胸が苦しくなる…
腕を振り払おうとするゆきの力は弱々しかった。
これまで、ゆきが自分に向ける視線はいつも熱を帯びていた。憧れや、戸惑いや、時に甘えるような温度。それが今は、見たこともないほど冷たい視線。
「すまない」
それだけ告げると、義勇はゆっくりとゆきから手を離した。
手放した瞬間に、ゆきが力なく布団へ倒れる。
その背中は、震えていて義勇はそれ以上言葉を重ねることができなかった。
「刀の調整に行ってくる。お前の刀をもっていく」
そう言い残して義勇は部屋を出た。
部屋で、一人になったゆきは天井を仰ぎ寝転んだ。
継子も辞退できない…どうしたらいいの…
日が暮れる頃ー
義勇は宿の部屋へと戻ってきた。刀はまだ預けたままだった。
代わりの刀を、部屋の隅に置き布団の中で眠るゆきを見つめた…。
頬に涙の跡を確認した…
もしかして、泣いたのか?俺の事をお前はどう思っているんだ?
義勇の手が勝手に伸びていく…人差し指の背で涙の跡にそっと触れた。
柔らかい肌…胡蝶に触れた時には感じなかったこの胸の高鳴り…心臓のはやさ…
「んっ…」
おでこに触れると熱かったので義勇は、慌てて桶の中の手拭いを絞りおでこを冷やしてあげた。