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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第78章 離れゆく気持ち…


次の日ゆきと義勇はバラバラに里へ向かった。

隠の背に揺られ、目隠しを外されたとき、ゆきの目の前には夕闇に沈む刀鍛冶の里が広がっていた。

案内された離れの宿、その縁側に灯る淡い明かりの中に、見慣れた隊服の背中を見つける。

​「義勇さん…」

​駆け寄ろうとした足が、ふと止まった。彼の隣には、羽織を揺らして微笑むしのぶの姿があったからだ。

​「あら、ゆきさんも到着されたのですね。お疲れ様です」

​しのぶは親しげに義勇の肩に手を置きながら、ゆきに微笑んだ。

​「今着いたのか…」

​義勇の返答は短いが、その視線はどこか遠い。

先刻、屋敷でゆきに詰め寄った時のあの剥き出しの情熱はなく何処かよそよそしかった。

​「ふふ、冨岡さん。先ほどのお話の続きですが…最近、貴方が私を気にかけて、よく声を掛けてくださるのが本当に嬉しいんですよ」

​しのぶが義勇の顔を覗き込む。その言葉に、ゆきの心臓がどくりと音を立てた。

​「任務の報告の際も、私の体調を案じてくださって。以前の貴方からは考えられない変化です。…私を、特別だと思ってくださるようになったのでしょうか?」

​冗談めかした口調の中に、隠しきれない熱情が滲む。しのぶの義勇を見つめる好きと言う熱い視線…

義勇はそれを否定せず、ただ黙ってしのぶの視線を受け止めていた。

ゆきが答えを濁し、時透や不死川の間で心を揺らしていたその空白を埋めるように、しのぶの真っ直ぐな想いが義勇の心の隙間に深く、強引に踏み込んでいく…。

​「…お前は、いつも変わらないな。俺が何を言っても」

​義勇のそのしのぶに心を開いたような呟きは、自分を翻弄し、答えをくれないゆきを追いかけることに、彼はもう限界を感じ始めているのかもしれない。

​目の前で繰り広げられる、入り込む隙のない「二人の世界」。

大切に包帯を巻いてくれたあの指先が、今はしのぶの差し出した体温を拒まずに受け入れている。その光景に、ゆきの胸の奥が、焼けるような熱を帯びて疼き始めた。

「あ、あの…お邪魔のようですので失礼します。」

ゆきは、慌てて二人の前を後にした…。

用意された部屋に入ると部屋の隅に、義勇の荷物が置いてあった。

「え?もしかして…同室なの…。」


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