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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第88章 淋しい夜〜冨岡義勇


背を向けて小さく丸まったゆきの肩は、まだ小刻みに震えていた。

着替えを進める義勇の手が、ふと止まる。無防備なその後ろ姿を見つめるうちに、胸の奥をぎゅっと掴まれたような感覚に襲われた。

  …俺の着替えに、照れているのか

無意識のうちに、口角がわずかに上がる…。

不安に押し潰されそうになりながらも、まだ俺にそんな感情を持ってくれる純真さを失わないゆきが、ひどく愛おしい。

そんなことを考えながら、義勇は素早く隊服に袖を通すと、そっとゆきの肩に手を置いた。

「ゆき」

「きゃっ!」

肩を跳ねさせたゆきは、耳まで真っ赤に染め上げ振り返ることもできずに固まっている。

その初々しさに、義勇の胸の鼓動が再び速まった…。自身の鼓動を落ち着かせながら声をかける

「驚かせてすまない。…準備はできた、朝食に行こう」

義勇はゆきの手を取り、廊下へと導いた。

食堂に足を踏み入れると、すでに温かな湯気が立ち上っていた。

並べられた膳を見て、ゆきが驚く。

そこにはゆきが以前、美味しそうに食べていた好物ばかりが並んでいた。

「ゆき様、どうぞ。今、隠たちが全力で時透様の情報を集めておりますから。少しでも精をつけて、お待ちくださいね」

配膳をしていた隠が、安心させるように微笑みを向ける。

その言葉に、ゆきの瞳に再びじわりと涙が滲んだ。

義勇だけでなく、この屋敷の人々は皆、こんな自分を家族のように案じ、優しくしてくれる。

   「…ありがとうございます」

震える声で感謝を述べるゆきの横顔を、義勇は静かに見つめた。

無一郎を想うゆきの心は、今もなお悲しみと不安に揺れている。

けれど、ここで向けられる無数の優しさが、ゆきの心を確実に癒しているのも事実だった。

「食べろ。一人ではないことを、忘れるな」

義勇の短い言葉に、ゆきはもっと目頭が熱くなり涙が溢れた…

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