第77章 私は誰が好き?〜時透無一郎 冨岡義勇 不死川実弥 【R強】
二人は暫くして無一郎の屋敷の門まで来ていた。
朝日がまぶしく、ゆきの二日酔いの頭に容赦なく響く。
昨夜の記憶は断片的にしか残っていないが、無一郎に組み敷かれ、隊服の襟元に指をかけられた時の熱い感覚だけが、残っていた。
記憶がないのに…あの無一郎くんの感触だけが思い出される…
「ゆき、大丈夫?」
背後から駆け寄ってきた無一郎が、迷いのない手つきでゆきの頭を撫でる。
「昨夜は…あんなに僕を困らせたんだから、責任取ってよね。続きはまた今度、ゆっくり」
耳元で囁かれた不穏な言葉に、ゆきは気まずすぎて、「ごめんなさい」と顔を赤くして俯くことしかできない。
その様子を、義勇は硬い表情で見つめていた。
昨夜、一触即発の事態を経て、無理やり無一郎の手からゆきを奪い去ったのは俺だ。
自室に連れ帰って介抱した際、「ぎゆう」呼び捨てで甘えてきたゆきの体温を、義勇は今も忘れていない。
「行くぞ。」
義勇が短く突き放すように言い放った時、屋敷から美月が姿を現した。
「ゆきさん! お加減はいかがですか…?」
美月の心配そうな声が響く。だが、義勇は鋭い視線を美月に向けた。
「時透…ゆきに構う前に継子をきちんと管理しておけ」
「管理?どういう意味?」
と無一郎が眉をひそめた瞬間、義勇は言い放った。
「昨日、美月がゆきを食糧庫に閉じ込めた。助け出したのは不死川だ」
衝撃の事実に無一郎が目を見開く。美月は一瞬顔を強張らせたが、すぐに涙を浮かべて震え声を出した。
「そんな…! 私はただ、ゆきさんがお疲れだと思って、静かな場所で休ませてあげようと…。まさか鍵が掛かってしまうなんて…!」
白々しい言い訳を、義勇の瞳がいっそう冷え切る。
だが、背後から昨夜屋敷に泊まったしのぶが現れ美月を、援護した。
「冨岡さん、そう美月さんを責めないであげてください。彼女、昨夜は本当に心配して私のところへ相談に来たんですよ?『ゆきさんが見当たらない』って、泣きそうな顔で」
しのぶは、美月の肩を叩き援護に出た。