第77章 私は誰が好き?〜時透無一郎 冨岡義勇 不死川実弥 【R強】
暫くして義勇が、ふと気付く…
えっ?ゆき何で?不死川の肩にもたれ掛かっているんだ?しかも顔が赤い…。
「不死川。ゆきに何を飲ませた」
低い義勇の声が響く。
しのぶの勧める酒を断り、ようやくゆきのもとへ歩み寄った義勇の目に飛び込んできたのは、顔を真っ赤に染め、無防備に不死川の肩へ頭を預けているゆきの姿だった。
「あァ!? 見りゃ分かんだろ、酒だよ! 俺が目を離した隙に勝手に煽りやがったんだ」
不死川は毒づきながらも、肩にかかるゆきの重みを振り払おうとはしない。
むしろ、義勇に対抗するように、ゆきの身体を支える腕に力を込めた。
「酔い潰してどうするつもりだ。…離せ、俺が連れて行く」
「ふざけんじゃねェ。先にこいつを保護したのは俺だ。テメェこそ、さっさと胡蝶のところへ戻りやがれォ!」
「保護?どういう事だ?」
「お前ェが、胡蝶と楽しく酒を飲んでた時にこいつは、食糧庫に閉じ込められてたんだよ!」
義勇が、驚きと戸惑いで目を見開く…。
「目見てみろ!腫れてんだろォ?ずっと真っ暗な食糧庫で泣いてたんだ。」
その時ゆきがじっと義勇を見つめていた…
「ぎゆう…」
甘えた声で、義勇を呼んだ…。義勇は、呼び捨てで呼ばれ心臓がドクンと弾んだ。
不死川が、そんなゆきを驚いて見た、その呼び方…こいつら二人きりでは、こんな感じなのかよォ…。
酔っているゆきは、目の前の義勇になんの躊躇もなく抱きついた。
部屋にいる不死川、しのぶ、抱きつかれた義勇の空気が変わる…。
「ぎゆう…怖かった…何できてくれなかったの…」
酒の勢いか、それとも恐怖の反動か。ゆきは義勇にぎゅっと抱きつき甘え、すやすやと眠り始めた…。
そんなゆきを見てしのぶが、溜め息をつく「これが、無自覚の誘惑だってなぜ気付かないんでしょう?酔っているからわかりませんか…冨岡さんあなた今誘惑されているんですよ?」
「違う。怖かったから甘えているだけだ。」
義勇は、ゆきの背中を撫でてやりながらムスッとして、しのぶに答えた。
ゆきは、義勇に抱きついたままぐったりして眠っている…。
「とにかく、俺はゆきを連れて帰る。」