第15章 潔白
「…蟲柱、水柱、一体何の用なんですか?
わざわざここに呼び出したりして。」
「我々を呼び出すということは
その女から息子に対する謝罪を聞かせてもらえるんだろうな?」
現れたのは私が怪我をさせたとされている隊士と、先日蝶屋敷まで怒鳴りにきた父親の中年男性…。
その2人は私の顔を見ると
嫌悪感が表情に出ていて顔を歪めていた。
2人のキツい視線に怯えそうになったけど
私には冨岡さんとしのぶちゃんが側にいてくれるから、動じることなく心は落ち着いたままでいることができた。
「全く…。
その女は息子を怪我させたというのに
我が家には一度も詫びに訪れなかったな?」
「いいよ親父、こんな女に
我が家の敷居を跨いで欲しくなんかないだろ?」
「ははは、確かにその通りだな!!」
「「『………。』」」
…笑えるところなんか何もないのに
その親子は2人で私を見ながら馬鹿にしたような目付きで笑い合っていた。
私は何も言い返す気になれなくて
ただ彼等が笑っている様子を傍観していたけど
隣にいるしのぶちゃんと冨岡さんからは
殺気に似たような雰囲気が出ているように感じた…。
「じゃあ、早速
息子に対する謝罪の言葉を聞かせてもらおうか?
言っておくが、土下座くらいでは許さんぞ。」
し「…謝罪の前に、私達からお話があります。」
「話、だと?話す事など何もないだろう。」
し「息子さんの怪我に関する事なので
お二人にも聞いて頂きたいのです。
どうぞ?お掛けください。」
しのぶちゃんが優しく声を掛けた事で
彼等は用意されていた座布団の上に大人しく座ってくれていた。
し「本日はわざわざ足をお運び頂き
ありがとうございます。」
「前置きはいい、サッサと話とやらをしろ。」
し「ではまず…、
さんに関する噂話が流れている件についてお話しします。」
『……え?』
てっきり怪我をした時の話からすると思ったのに、私の悪評噂話を取り上げられたことに驚いた私だけど
それは正面に座っている親子も同じようだった。