第15章 潔白
『ぁ…』
「お前は…必ず俺が守る。」
『っ、冨岡さん…』
「俺を…信じろ。」
手のひらから伝わってくる冨岡さんの熱と
力強い言葉に少しずつ不安が解消されていく…。
そうだよ…
何も恐れることないじゃん…。
私は一人じゃない…、
常に私の味方でいてくれるしのぶちゃんだけじゃなくて、私の事を心から想ってくれている恋人の冨岡さんがいるんだもん…。
こんなに頼もしい2人が私の為に動いてくれたんだから…
私はただ、2人のことを信じればいいんだ…。
『冨岡さん…。ありがとうございます…。』
「…行くぞ。」
『はいっ!』
私も冨岡さんの手を強く握り返して
そのまま手を繋いで屋敷の中へと移動した。
ーーー…
私達は蝶屋敷にある畳張りの一室で
正座をしながら人が集まるのを待っていた。
私の左右には
冨岡さんとしのぶちゃんが私を挟むように座っていて…
2人がそばにいてくれるのを心強く思っていると、部屋の襖が開き、そこからアオイちゃんが顔を覗かせていた。
ア「失礼します…、
しのぶ様、お見えになりましたよ。」
し「分かりました。こちらにお通しして下さい。」
しのぶちゃんの返事を聞いたアオイちゃんは
一度だけ頷くと襖を閉めて、客人を迎えに行ったようだった。
『……。』
し「さん、緊張されてます?」
『う、うん…。ちょっと、ね…』
さっきみたいな不安は感じないけど
今は極度の緊張状態に陥ってる私を見て
しのぶちゃんは優しい笑顔を向けてくれていた。
し「大丈夫ですよ、必ず上手くいきますから。
ね?冨岡さん?」
「…あぁ。」
しのぶちゃんに同意した冨岡さんの返事は短かったけど、声のトーンがいつもと変わりなくて、私にとってはそっちの方が逆に安心出来た。
緊張によって速くなる脈を
深呼吸で落ち着かせていると、部屋の襖が再び開き、そこから2人の男性が中に入ってきた。