第15章 誘われた夜
夕方になり、雅もシャワーを浴び、着替えをする。濃くなり過ぎないようにメイクも済ませ、用意をしていく。
「おかしくないかな…」
少し不安になりながらも雅は緊張した面持ちで鏡を見る。
「…なんか…見慣れない…けど…」
そう、昼間加賀の部屋を後にした後、雅は思い立って美容室に行っていたのだ。
「…似合わないとか…反応おかしかったらどうしよう…エクステとか…頼る?でも…それ以上に嫌われたりとかしたら…」
カットしてくれた人も出来上がりに『かわいい』を連呼してくれたものの、これだけ短くなるのは年単位ほどの事だった。
「…首筋もスースーするし…」
そんなことを言いながらも部屋を出ればあすかと遭遇した。
「…あれ?誰かと思ったら…雅ちゃん?!」
「あ、あすかちゃん…」
「え、待って…めっちゃくちゃ似合ってる…!」
「え、あ…ありがと…」
「加賀さんの好み?!」
「違う、それは解んないけど…なんか…」
「気分転換?!」
「ん、似合ってたらうれしい…」
「加賀さんなんて?」
「まだ見せてなくて…」
そう話しながらもエレベータに向かっていくとそこには加賀がたって待っていた。
「…あれ、噂をすれば」
「…ッッ」
「あれ、あすかちゃ…ッッ…って…」
「なんで私の後ろに隠れるのよ…」
「だって…」
「せっかくなんだしほら」
そう言ってあすかはグイっと背中を押した。
「…これから加賀さんどこかに行かれるんですか?」
「あぁ、食事に。雅と一緒にな」
「え、約束してた…?」
「ん…」
「じゃ、私邪魔しちゃいそうだから次ので行くわ?」
そう言ってきたエレベータに乗らず見てを振ったあすか。