第39章 珍しい嫉妬
「これだけ簡単に反応するんだから…」
「…そ、れは…城だから…」
「そうかもしれないけどさ?だけど、あんな簡単に触られたくねぇって…」
「そうなんだけど…」
「あいつらに何回言っても、聞いてくれねぇし…」
額を合わせればそのまま腕に閉じ込めるままに加賀は話し出す。
「…俺のだってリングもしてるってのに…」
「…だから触れるだけで誘われないのよ、きっと」
「…ッッ」
「それに私は大丈夫。」
「言い切ってる」
「だって、ずっと城しか見てなかったくらい好きなのに…私より城のが心配だよ?」
「なんでよ」
「モテるから」
「…そうかぁ?」
「この試合も一位取ったらそれこそ放っておかれないと思う…」
「俺は放っておくけどな?」
「冷たい人!って言われちゃうよ?」
「関係ねぇよ」
「…クスクス…」
「なんだよ」
「そんな事言うと私だけの特別って思っちゃうよ?」
「何今更な事言ってんだ」
いつの間にか加賀の纏っていた嫉妬にも似た空気感は和らいでいた。そっと首に腕を回して雅は加賀の首筋に唇を寄せる。
「…あのね?城」
「ん…」
「心配しなくてもずっと城の傍にいるから…城が居なくなったら私どうやって生きて行ったらいいか解らない」
「…そんな事ねぇよ」
「あるの…だからいつまでも居てくれないと困る。一人にしないで?」
「……しねぇよ、一人には…」
そう言えば加賀もまた雅の腰に腕を回した。引き寄せる様に体を密着させれば加賀もまた雅の首に顔を埋め、ちゅっとキスを落とすのだった。