第11章 アイ・コンタクト
そして翌日…ホテルに併設されているミーティングルームで今後の話し合いが始まった。と言ってもレースに関してのものだった。
「そろそろか…」
雅は少し早いが…と部屋を後にして会議室に向かっていく。その場にはクレアや修、他にもメカニック等々がまばらに集まっていた。
「…あれ…、」
「まだ中使ってんだよ」
「あ、なるほど…」
そういわれて雅はドクンと胸が高鳴る。
「使ってるって、やっぱり…」
「そ、AOIの2チームがね」
「そか…」
予定よりも少し遅れて扉が空く。遅くなりました…とばらばらと出てくるクルー達にぺこりと頭を下げるスゴウの面々。ミキやそのほかのクルーも一緒に出てきた。
目配せだけして声をかけることも無く、ただ会釈を交わして離れていく中、新条と加賀も出てきた。
「…ッッ」
声をかけそうになるものの、ぐっとこらえた雅。その姿に気付いた加賀はフッと笑みを交わすだけで通っていく。
雅もまた加賀に会釈をしてその場を離れる。
「…ハァ…心臓に悪い…」
「そぉんなこと言って…」
「あすかちゃん…」
「さっきの加賀さんの雰囲気、絶対いつもと違うよ」
「そ、うかな…」
雅も照れだしてしまっている中でアンリがぬっと二人の間に入ってくる。
「だから言ったじゃないか…加賀だって一人なんだからって」
「え?」
「…ん?」
「あ、そうだ…アンリ…」
「何?」
「あとで話があって…」
「なんなの?」
「ミーティング終わってからでいいよ」
「…ふぅん…わかった。」
そうしてミーティングも始まっていく。十分の小休止を挟んだ時だった。
「…ねぇ雅?」
「何?」
「さっきの話って何?」
「え、っと…」
「今話して?気になって仕方ないから…」
「…後のが『今で良い』…ん」
そうして部屋の隅に行けば雅はアンリに話し出す。