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Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第38章 王者の来訪


そうして話をしながらも記者たちに囲まれる加賀を見つめたまま、しかしふと視線を外してパソコンに向き合う雅。

「…いいのか?いかなくて」
「どこに行くっていうのよ。私もあの記者たちの中に混ざれって?」
「そうだろ、」
「嫌よ。」
「写真嫌いか?」
「そうじゃなくて…」

小さく笑えば雅は軽く目を伏せて話し出す。

「…私はあそこに立っちゃダメなの」
「…なんで?」
「なんでって…そりゃあの光は城の物だから」
「その光を生み出してんのは雅でもあるって自覚ある?」
「自覚?そんなのないよ。」

小さく笑う雅を見てグレイは近づいて来る。

「…ま、雅らしいっちゃらしいんだけどな?そこはいいと思うけどな?誇ってもよ?」
「グレイまで…そんな器じゃないの知ってるくせに」
「そうでもねぇさ。お前さんがいてくれるから城が輝けるんだろ」

そう持ち上げられても一向に首を縦に振らない雅。あくまで城のサポートに居られるだけでいい…とそこに徹するのだった。そんなところに加賀は記者たちの輪からすり抜けてきた。

「…雅。」
「え?あ、城、どうかした?」

そう答えれば雅の肩に手を置いて引き寄せれば耳元に顔を近付ける。

「…(いじけすぎ)…」
「へ?」
「バレバレだ」

にっと笑う加賀に顔を真っ赤にする雅。それも致し方ない。他の誰に聞かれるでもない、耳元でささやくかの様に話していただけなのだ。

「…じ、ょう?!」
「何?」
「見てる…皆、それに…」
「どうってことねぇだろ。」

フッと笑う加賀は続けざまに頭をポンっと撫でてその場を離れていった。
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