第37章 決勝の行方

「お疲れ様！」
「あぁ、アンリも2位か！」

嬉しそうにハヤトはガーランドの帰還を待っている。

「…お疲れ様！」

帰ってきたガーランドを出迎えた雅やハヤト。そして少し離れた所で加賀も見ていた。マシンから降りればまっすぐにアンリは加賀の元に向かっていく。

「…やったじゃねぇの」
「……別に、礼は言わないです。」
「おぅ、俺があれを言ったからってそれでどう変わるかはお前さん次第だったしな？」
「…でも…」
「んぁ？」
「…・・ありがとう…ございます」

消えそうなくらいの小さな声で伝えたアンリの頭をぽすっとひと撫でした加賀。

「…ｯｯ…子供扱い！しないでくれる？！」
「ｸｽ…しちゃいねぇよ」
「ふん…！」

解りやすくも照れながら、それでも嬉しそうにアンリはハヤトと一緒に記者たちに囲まれていた。

「…雅？どうする？」
「どうするって…？」
「あいつらの表彰台、見てくか？」
「ううん、大丈夫」
「あら、もう帰るの？」
「はい、すみません、ありがとうございます」

そう返事をした時だった。それに気付いたハヤトがアンリに合図をして雅の元に向わせた。

「…ちょっと、帰るならひと言位…」
「…ん、でももう大丈夫だよ！アンリなら」
「…ｯｯ勝手に決めないでくれる？」
「そんなことないよ、これからのグランプリも楽しみに結果待ってるから」
「…最後位…」
「ん？」

きゅっと体を引き寄せて抱き寄せるアンリ。

「…へ？」
「…ありがとう…今まで…ずっと甘えてた…」
「そんなことない、もう十分早くなってる」
「甘やかさないでくれる？」
「…どうして？」
「まだまだなんだよ、僕だって…」
「大丈夫。盗む技術はすぐ近くにいるんだから…ね？」

そういわれてアンリはゆっくりとその腕を離すのだった。