第4章 2人きりの時間
そうは言ってもこの広い会場の中だ。しかもスゴウのメンツ以外はほぼ絡みがないといった雅。
「あれ?ユーは…」
「あ、グーデリアンさん…こんばんわ」
「へぇ、かわいいじゃないの」
「貴様が言うとただの変態だ。やめろ」
「ハイネルさん、こんばんわ…」
「あぁ。今夜は一人なのか?」
「あ、違うんです。クルーも一緒で…ただ…」
「ん?何か訳アリか?」
「あ、なんでもないんです。すみません」
そうして雅はミキを見つけるとタタっと走り寄った。
「ミキさん…!」
「あれ、雅。きれいじゃん?」
「あ、新条さんも、こんばんわ」
「あぁ、こんばんわ。」
「一人、じゃないでしょ?」
「一人じゃないんですけど…その…」
「何?」
「アンリに行って来いと…」
「……?」
いつもと打って変わって髪もおろし、軽く巻いて着飾っている雅を見てミキは新条に問いかけた。
「…今日って加賀も来てるんでしょ?」
「あぁ、その予定だけど?」
「あ、本当に、いいんです。見当たらないのは…縁がなかったっていうか…」
ははっと笑う雅と話している三人の元に今日子がやってくる。
「皆さんお揃い?」
「今日子さん、こんばんわ」
「あら、こんばんわ。あなたも来てたのね?」
「あ、はい」
「ところで新条君?」
「はい?」
「加賀君はどこ?」
「来てないんですか?」
「見当たらないのよ。ポイントレース的にも壇上に上がらないといけないのに…」
「連絡は?」
「それが付かないのよ。もう、どこに行ったんだか…」
はぁ…とため息を吐いて今日子はぱたぱたとその場を離れていく。
「…きれいだな…今日子さん…」
そう呟くと雅は少し俯いてまたね!と笑って二人の場所を離れた。