第4章 2人きりの時間
自分の物はまた今度しっかりと見定めて買えばいいわよとのクレアの提案に感謝を告げて雅はドレスを借りた。代金は修が経費で出してくれるとの事。
「…本当になんて言っていいか…」
「まぁ、諸経費?」
「それって私が借りてもかしら」
「それはどうかしらね、」
アクセサリーもついでにと選んで部屋に持ち戻る。
「これで完全に目を引くわよ!絶対!」
「そうかな…」
「自信もって?!」
「ん…」
「私のはピンクだから…、被らないし!」
「そういえばミキさんは?」
「ミキさんは赤だったかな?」
うーんと考えるそぶりをしながらもあすかと話をしていた。時間になり、用意をして会場に向かう。ハヤトとアンリはじめ、ドライバーは基本的にタキシードを着ていた。
「…って事は…もしかして…」
「んー?」
「加賀さんも…?」
「でしょうね、てか本当に好きね…加賀さんの事」
「…ん…」
雅自身もどうしてここまでかはわからなかった。それでもどうしようもなく加賀に惹かれていたのが解る。
「…一番苦しいけど、いちばん楽しいよね、そういう時。」
「ん、ホントに…」
「ねぇ!!」
あすかと話している時に不意に声をかけられたのはアンリだった。
「…アンリ、カッコイイね」
「そんな事よりも!ちょっと来て」
そういうとアンリはあすかから雅を引きはがす様にして連れていく。
「…ね、ねぇ?アンリ、どうかした?」
「その、似合ってる。」
「へ?」
「その服だよ。僕が似合うって言ってるんだ」
「ありがと」
「それもこれも加賀の為なんでしょ?なんでこんなところにいるんだよ」
「え、っと…」
「速く行きなってば!」
そう言って背中を押された雅だった。