第35章 嫉妬と甘い熱

その手の優しさに雅の目から涙は溢れ、頬を伝う。

「…ｯｯ…」
「誰に何を言われても俺はあの時すげぇ自分引き戻されたし、いつだって雅がいてくれることでちゃんと戻ってこれる。雅が自分勝手だって思ってんならそれで救われる俺も自分勝手だ。」
「…それは…ｯｯ」
「でもよ…？」

そう続ければ加賀は少し目を細めながらも雅を見つめて話を続ける。

「もし万が一今日子さんが俺の事を好きでいてくれたとしても、俺は雅を選んだ。それは俺の心であって誰かに操作されるものでもねぇんだよ。もし今日子さんに告白されても、俺は断ってただろうしな？」
「…ｯｯ」
「つまりは雅は俺が選んだ。はじめは諦めねぇな…って思ってたところもあって、根負けしたに近いかもしれねぇけどよ？それでも一緒に居ればいるほど雅が、雅を大事にしたいって…傷つけられねぇって、そう思う様になってた。」
「…城…ぉ」
「それで今はここに一緒に居る。俺はそれで十分幸せだけど？」

そう言い終わるが早いか雅は加賀の首に巻き付いていった。

「…城…ｯｯごめんね…」
「そのごめんは何のごめんなワケ？」
「…そう思ってくれてるの…知らなくて…ｯ、話してもらえなかったって思って…一人で抱え込んで…話してもらえなかったのだってよくよく考えたら当然なんだよ、チーム違ったんだもん…なのに…今の距離が近くて…勝手に勘違いして…」
「だから気になることあったら言ってなって言ったろ…」

巻き付いて来る雅の背中に腕を回して加賀は小さく笑った。

「…俺もサイバーのレースに連れていくっていうなら先に話しておいた方がよかったのかもな…悪かった。」
「…そんな事…ない…ｯｯ謝らないで…ありがと…」
「ん、落ち着いたか？」

ゆっくりと肩を押し戻し、加賀はじっと雅の目を見つめた。