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Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第30章 初めての買い物


「ま、私利私欲に負けなかったのはえらい」
「フィルのが優しい…」
「俺が優しくねぇみたいな口ぶりじゃねぇか」
「俺にしたら加賀、めちゃくちゃ雅に甘い。優しいっていうよりさ?」
「甘い…かな?」
「なんで疑問形なんだよ」

くすくすと笑い合う三人。少しの休憩も終えればフィルの車で新居に戻っていった。

「…ただいま!」
「おう、お帰り」
「…城君もお帰り」
「ん、ただいま」

ほぼすべての荷物を持って上がる加賀から受け取ってガス等の確認も終えた。

「よし、付くな」
「本当に親切だよね…こっちのハウス業者さん…」
「だな」

そういうと雅はそっと加賀の背中から巻き付いていく。

「…どうした?」
「ううん?さっきフィルと話してた事、」
「んぁ?」
「優しいとか優しくないとか、そんな事…」
「あぁ、あれがどうかしたか?」
「ぶっきらぼうな城君も好きだなって思った」
「…なんのこっちゃ」
「優しいのは十分解ってる。それに甘やかせてくれるのも」
「…」
「私にだけだと嬉しいなとかも思っちゃうけど…束縛はしたくないし…でも…どうしたらいいのかなとか、どう伝えたらいいのかなとか…」
「言っとくがな、俺は何人もの女に優しく出来るほどできた男じゃねぇよ。」
「…城君」
「雅だからだ。こっちに連れてきてぇって思ったのも、雅だからだよ。」

そこまで言えば前に回る雅の手にそっと自分の手を重ねる加賀。

「…ごめんね、変な事言って…」
「いんや、変じゃねぇ。でもこれからはこうして一緒に居られる。心配だ、不安だ…そういうのがあったらちゃんと言って?」
「ん。城君もね…?」
「俺はねぇから大丈夫だ。」
「出てくるかもしれないでしょ?」
「クス…だな…」

小さく笑いながらも加賀は雅の手を緩めた。
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