第30章 初めての買い物
「フィルが着いたって」
「そか!」
そうして扉に向かう加賀の服の裾をつまむ雅。
「…ん?」
「フィル、待たせちゃって悪いけど…」
そういうと振り返った加賀の頬にキスを落とす雅。
「たく、甘えただな」
「…ごめん」
「謝るな、でもどうせなら…」
ちゅっと軽く触れる唇。
「こっちにして、これから…」
「…ん」
小さく俯きながらも返事をする雅。照れくさそうに急いでマンションの前に向かっていく。
「ごめんね?遅くなって…」
「大丈夫。」
「わり、」
「いいよ。で?どこ行く?」
そう聞かれれば加賀は買うものリストを見ながらも家具屋と、雑貨屋、あとは服かと呟いた。
「…ねぇ加賀?」
「んぁ?」
「ほぼ家具そろってるんじゃないの?」
「ベッドは来た。んで、各部屋のデスクとか収納は付いてんだけど、リビングのテーブルと椅子がねぇ。んで、食器調理器具?あとはパジャマとか?」
「なるほどね」
納得したと言わんばかりにフィルは返事をした。そのまま言われたものがそろうであろう店が一同に入っているショッピングモールに向かっていく。
「…ここでどうかな」
「サンキュ。フィルはどうする?」
「俺もどこか見てくるよ。また終わったら連絡して?」
「分かった。」
二手に分かれてそれぞれ見ていった。テーブルとイスに関してはまた送ってもらう事に。順番にそろえていくとしても先に居るものだけを見繕っていった。
「…これで後は…」
「夕飯はどうする?」
「せっかくだし、何か作る?」
「大変じゃね?」
「大丈夫だよ。何がいい?」
加賀に聞けば食品コーナーでいろいろと見て回っていった。