第28章 幸せな時間
「でもどっちにしてもベッドは持っても帰れねぇから見てから帰るわ。」
「おぅ、解った。雅?」
「何?」
「…いや、なんでもねぇ」
「なになに?グレイが珍しい…言いかけてやめるとか…」
「いや、多分今言っても意味ないかと思っただけだ。」
「え?」
「どちらかと言えば雅よりも城だな」
「…来ると思ったけどな」
「え?あ…・・え?」
「まぁ?好きなものでいいと思うけどな?」
そう言って意味ありげにグレイはガハハ…っと笑っていた。食事を終えれば二手に分かれていく。
「…んじゃぁ、また後でな」
「おう」
「行ってきます!」
「気を付けて」
「ありがとフィル」
手を振って、車を見送れば加賀も雅を乗せる。
「…ねぇ城君?」
「ん?」
「さっきグレイが言ってたのって…何?」
「あぁ、ベッド、でかいのにするんだろうが、って事だろ」
「え?!…あ、…へ?」
「俺は端からそのつもりだったから別に気にしちゃいねぇけど」
「で、でも!それでなんでグレイ私に?」
「ダブルにするからって言いだしかねねぇから、嫌ならはっきり言えよって事だと思う」
「…ッッダ、ブル…?」
「ん?小さいか?」
「私寝相悪いかも…」
「そんな事はねぇから安心しろ」
「…くっついてるよ?」
「上等だな」
「…私は嬉しい、です」
そういわれた加賀はポンっと頭を撫で自身もバイクにまたがっていく。
「…出るぞ?」
そう声をかけて加賀はエンジンをかけて走り出した。
家具を売っている場所に向かえば真剣に選んでいる加賀。
「…下に収納あった方がいいとかあるか?」
「どうだろうね、でも十分な収納スペースあった気がする。」
「確かになぁ…でもどうするかな…」
こっちは?あっちはどうだろう…と互いに選んでいく。フレーム自体はシンプルなものを選ぶのが多かった二人。揉めることも無く、どちらかが遠慮するわけでもなく決まった。