第27章 新しい新境地
「嫌だった、よね…レースのクセとか分析されるとか…チーム違ったのに…何してんだって感じだし…」
「そんなのは…別に…てか…どれだけ…」
「えと…それは…」
「もしかして前季分全レースっていうんじゃねぇだろうし…」
「やっぱ…引くよね…」
「…ハァ…」
そう聞いた加賀は小さくため息ついた。
「…引かねぇよ。これで引いてたら俺どれだけ罰当たりなんだって話だろ…」
「城、君?」
「後で見せて?」
「…そ、んな!本人に見せれる内容じゃない!」
「うるせぇ、フィルに見せれて俺に見せれねぇって事はねぇだろ…」
「…だって…」
キュッと握り返せば指ごと絡め取られた。
「…アンリメインだったから…そんなにしっかりとデータ付けれてないし…」
「…問題ねぇよ。」
そう話して指をほどけば肩を抱き寄せた加賀。
「…隠すことじゃねぇだろって…」
「隠すっていうか…気持ち悪がられるかと思って…」
「なんでだよ」
「…だって…正確でもない、まぁ、チーム違うから当然正確には取れないんだけど…第一戦目からラストまで…取り続けるってストーカーみたいかもって」
「別に、他チームでも自分のとこの敵ならデータは取るだろ。」
「…行き過ぎてないかとか…」
「分かった。それは俺が決める。」
小さく笑うと頭上に軽いキスが降りてくる。
「…ッッ城君…ここ…」
「大丈夫だ。すぐ着く。」
「すぐ着くの言い方が…」
クスクスと笑いながらも車内に穏やかな空気が戻ってきた。
グレイとフィルの車内の中も同じくフィルからグレイは聞いていた。
「…そっち側のはみんな苦手だからなぁ…助かるんじゃねぇか?」
「細かいから驚いた。」
「でもよ。雅、自分のとこのデータも取ってたんだろ?」
「あぁ、そうだろうね」
「それで城の分も、か…」
「頭が上がらないよ、」
そう話していたのだった。