第27章 新しい新境地
そして着陸時間の案内も入ったタイミングで雅はパソコンを畳み、フィルと一緒に席に戻る。
「居た」
「…あ、起きてたんだ…」
「フィルと二人?」
「ん、後ろの方にいた。」
「…へぇ」
「加賀?勘違いしてない?」
「別に?」
ふいっと空の雲景色しか見えない外に目をやる加賀。
「…城君…あのね?」
「ん?」
「パソコンしてたから、明かりで邪魔したらいけないかなって思って…、それで後ろの席にいたんだよ?」
「そっか」
「……フィルに少し見てもらっただけだよ?」
「何を?」
「何って…」
「加賀、別にやましい事はないよ?」
「…解ってる。」
「…わかった…ホテル着いたらいうよ」
フィルははぁ…っと頭を抱えた。それを見てグレイもまたこそりとフィルに聞いた。
「…どうしたんだ」
そう問いかけるグレイにフィルもまたホテル着いたら…と答えていた。
飛行機も着陸し、順番に降りていく。荷物を持ち、加賀の後ろをついていく雅。加賀と雅、そしてフィルとグレイの二人ずつになり、ホテルに向かうためにタクシーに乗り込んだ。
「…で?」
「え?」
「ホテル着く前でもいいだろ」
「…でも、直接見せた方がいいかなって…」
「何を?」
「ッッわかった…城君のレースの走行データだよ。凰呀とエクスペリオンのだからこれからのインディカーには使えないかもしれないんだけど…何かの役に立つかと思って…」
そういわれて加賀は少し目を見開いたように驚いていた。その直後には照れたようにグッと手を握りしめてくる。