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Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第26章 約束


「ほら、行けば?」
「でも…ッッ」
「僕の傍にいるのはもうしなくてもいいでしょ。てか、僕がリタイアした時点で雅のスゴウでの役目は終わってるっていったじゃん」
「…言い方」
「なんとでも言えば?」

『ほら、さっさと行きなってば』とぐいぐいと背中を押すアンリと戸惑う雅の姿すら、修やクレアをはじめ、他のスゴウチームクルーも小さなため息をこぼしつつもにこにこと笑ってみていた。

「…え…っと」

視界の先にはレーシングスーツを少しだけジッパーを下ろした加賀がいた。

「…ただいま」
「…ッッ」

ゆっくりと近づく雅はちょうど2チームの間ほどできゅっと巻き付いていく。そんな雅を抱きしめながらも加賀は少しだけ照れくさそうに話し出す。

「てか、わがまま言いたい放題言いやがって…」
「…でも、約束守ってくれたじゃない…」
「そりゃ、した約束位守らねぇとよ」
「…おめでとう…」
「ん、…・・あと…」

ゆっくりと体を離せば、手を引いて凰呀に近づく加賀。ストンっと乗り込めば『来いよ』と雅を誘う。

「…でも!私無理…!!」
「ウィニング・ラン、付き合えよ」
「はっ…?え、待って…!」
「そんなにスピード出さねぇよ。心配するな」
「そうじゃなくて…ッキャ!!」

反論する雅を後ろからグレイがひょいっと抱き上げれば加賀の右わきのボディに座らせる。

「…いいか?ブリード、振り落とすんじゃねぇぞ?」
「んなバカな真似するかよ。」

そう言って加賀はエンジンをかける。

「出るぞ?」
「え?…待って…え…!!」
「怖けりゃつかまってろ」

そう言ってゆっくりと走り出した凰呀。そんな加賀を見送る中でAOIのチームもあたたかな雰囲気になっていた。

「…加賀もあんなことするんだ。」

そういうフィルに対してミキが近づけばそっとフィルに聞こえるだけの声で話し出す。

「ま、相手が雅だからってのもあるだろうけど?」
「ミキさん…そうですね…クス…あの子のひと言で加賀の走りが戻ったんだから…」

そう答えてほほえましそうにモニターを見るのだった。
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