第25章 加賀の決断
それから数日過ごし、予選一日、二日目と過ぎていく。どうにかしてもハヤトを優勝に持ち上げるには加賀を抑えないといけない。それは第一条件だった。かといってアンリ自身も言っていたがアンリで加賀を止める事は出来ないだろうとの結論にいたった。
「…加賀がPPか…」
「ハヤトが3位…2番手がランドルか…」
思ってもいないスタートだった。当然の様に加賀はポールポジションを奪っていった。
「…にしても加賀君、何かあったのかしら?」
「解らないが…真坂との接触もここ数日無いはずだしな」
「…それは解ってるわよ。スゴウのお屋敷に居てもずっとパソコンに向かっているもの。」
「…そうなんだ…が」
加賀との連絡は雅からも、そして加賀からもこのタイミングで入ってくることはほとんどなかった。はたから見れば自然消滅、もしくは別れたのだろうか…?と思わせるほどの距離感だった。
しかし雅との関係が加賀の結果に関わっているのか否かは正直なところ解る事はなかった。
***
翌日が決勝、本当に最後の日の夜、AOIのガレージでは今日子がスパナを持って凰呀に近付いていった。目の前にし、怪しく光るその車体のボディをみてグッと握りしめるスパナ。
「…ッッ…あんな思いをするなら…」
思い切り今日子が腕を振り上げた時だった。
「…悪いけど、それじゃそいつは壊せねぇよ」
「…加賀、くん…ッッ」
加賀が今日子の後をついていたのだろう。ガレージの入り口でもたれながらも声をかけた。