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Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第25章 加賀の決断


「だって…加賀君が、あんなに苦労して…!何回クラッシュしたと思ってるの…!」
「解ってるよ。」
「凰呀が…この化け物が…明日暴走したら?!今度こそ本当にあなたは死んでしまうかもしれない…私のせいで…」
「違うさ」
「…何が…ッッ違うのよ…何も違わない…オーナーとして…私が止める必要があった…!あなたを壊すくらいなら…!私は…私は明日の決勝捨ててもかまわ…ッッ」

そう続けた今日子の肩をグッと抱き寄せてきつく抱きしめた加賀。『離して…』と身をよじるも背中に回された腕は解かれる事も無いままに抱きすくめられたままだった。

カラン…

スパナが床に落ちたのを見て加賀もゆっくりと腕をほどいた。

「俺の力不足であんたが責任取らせられることしなくていいだろ…」
「…ッッ」

小さくため息を吐いて凰呀に凭れながらも床に座り込む加賀。そのまま今日子と少し話をしだす。

ハヤトが羨ましい、いや、アスラーダがあいつにはあるから強ぇんだ…そう言い聞かせて逃げてた。

そんな話が一旦途切れた時だ。今日子がするっと加賀の背中に凭れる様にして抱きしめた。

「…加賀君…」
「…でも、あんたが…今日子さんがAOIを守ってくれてたからよ、俺はここまで走れたんだ。」
「…そんな事…ッ」
「ありがとうな、俺に走る場所をくれて…」

そう言いながらも前に回る今日子の腕には一切触れなかった加賀だった。
落ち着いた今日子を見送り、加賀は凰呀に視線を向ければ小さく笑い、加賀もまたガレージを後にする。
ホテルに戻れば、鏡の前に立ち、ピアスを外してザク…っとみつあみを切り落とした加賀。こうして翌日の決勝に臨むのだった。
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