第25章 加賀の決断
その一言を聞いて雅もまた動きが止まった。
「…もしかして…」
「どうかした?雅ちゃん」
「ねぇ、あすかちゃん…お父さんってもしかして…前オーナー…だったり…?」
「そうよ?知らなかった…?」
さらりと答えられた雅。どうしようとあたふたしていたのを見て菅生は修の所に向かった。
「彼女に話していなかったのか?」
「はい、」
「…なるほどな。」
「…それで、彼女の事なんですが…」
「どうかしたのか?」
「後でお話が…」
「あぁ、解った。」
会話もそこそこにそれぞれ分かれて車に乗り込んで菅生の屋敷に向かっていった。
***
屋敷に着けば雅一人どうしていいかわからずにいた。
「あら、そちらのお嬢さんは?」
「…あ、えと…」
「真坂さん、俺の母親。」
「あ、すみません、真坂雅と言います。初めまして」
「初めまして、じゃぁあなたがスゴウのもう一人のあすかさんね?」
「へ?」
「おばさん!もぉ…!」
「だってそういう事でしょ?ハヤトにあすかさんがいてくれるようにもう一人のドライバーの方には雅さんが必要って事でしょ?」
「それもそうよね」
「だからって…!」
そこには雅の知っている家族像とは明らかに違う、温かな空気が漂っていた。その間に…と修は菅生の書斎に呼ばれて問われていた。
「それで?彼女についてってどういうことだ?」
「それなんですが…」
そう聞かれて修は今の雅と加賀の状況を菅生に話した。
「なるほどな…」
「ですので、来季からは真坂はいないかと思いますが。」
「分かった。しかしまさかうちからAOIに二人目とはな」
「そうですね」
「アンリでは駄目だったんだな」
「まぁ、アンリのが年下ではありますし。好みの問題になりますしね」
そう話していた。